選手に「考えさせる」ための思考と発想の技

 

◇ 指導者の願いと、選手の思いに“ズレ”!?

 

時代は変わった・・・

指導者が選手(子ども)だった頃と、今の選手(子ども)は同じではなく、また個々人の選手(子ども)についても様々です。

指導者が自分のみの経験値と視点(観点)で指導することは、選手の(潜在能力による)可能性の範囲を制限することにつながり、多種の課題も解決しないまま、年を重ねてしまいます。
つまり、子どものゴールデンエイジの学びは、指導者の質によって大きく変わる、と言っても過言ではありません。

指導者主導ではなく、選手主体(プレイヤーズ・ファースト)のスポーツ環境を整えるためにも、指導者と選手の間にある課題から逃げず、把握・理解し、早々に取り組むことが重要となります。

 

指導者の”願い””思惑”と、選手の”思い””希望”に「ズレ」が生じている限り、目標達成からは程遠い状態になることもあります。

例えば、スポーツの「楽しさ」とは何か?

・運動する楽しさ(体を動かす楽しさ、喜び、爽快感など)
・理解する楽しさ(新たな知識・技が体感できる楽しさ、安心感、達成感など)
・成長する楽しさ(さらに上手くなる楽しさ、充実感、覚醒感など)
・関わる楽しさ(一緒に・応援・教わり・教えるなどの楽しさ、効力感、共有感など)
・賛美される楽しさ(応援・支援・賞賛される楽しさ、承認感、優越感など)

 

・・・「楽しさ」を伝えたい指導者でも、選手(子ども)一人ひとりの求める「楽しさ」が違うことに気づいていないことがあります。そこに「ズレ=違い」がある限り、スポーツが「好き」、スポーツを「続けたい」、という思いは、いつの間に失せてしまうのではないでしょうか。それも指導者によって・・・

 

◇ ”拡散と収束”思考と自問を活かす

 

”拡散と収束”思考を活かし、成長しているトップアスリートは数多くいます。(例えば、野球のイチロー選手・大谷選手、サッカーの長谷川選手、ゴルフの石川選手、陸上界の為末氏・武井壮氏など)

共通するのは、プレイについて言語化、文字化できることです。自分にも相手にも解りやすいように伝える手段を持っていることになります。そして、自身の現状課題を明確化し、クリアする行動力を備えています。つまり、若い(子どもの)時から論理的思考を身につけ、今も活かし続けているわけです。

 

スポーツ指導者が頻繁に使う言葉(セリフ)には、受け取る側でその意味合いが変わります。その発する言葉の意味を一度、自問し、考えてみてはいかがでしょうか。

『全力!』とは、何に対してなのか?
『皆、同じだ!』が、意味することとは?
『もっと速く(早く)!』は、正確に伝わるのか?
『もっとしっかり(やれ!)』は、誰が基準(どの基準)なのか?
『いつも通りに(やれ!)』は、どこにフォーカスしているのか?
『(言っていることが)分かったかぁ!』は、何を指しているのか?
『何度言ったら分かるんだぁ!』の視点は、どこにあるのか?
『言われた通りに(しろ!)』が、目指すところはどこか?
『ちゃんとしろ!(やれ!)』が、物語っているのは何か?
『褒めて育てる』は、相手が望んでいることなのか?
『個性を活かす』とは、具体的にどうすることか?
『公平に接する』言動を、5W2Hで説明できるか?
『コミュニケーションをとる』の、最終目的は何か? 何のためなのか?
『良い指導者(グッドコーチ)』とは、何をもって誰が評価するのか?

 

・・・このようなことを言語化し、説明していくためにも、指導者はインテリジェンスが必要です。

 

「考える選手」を育てるためには、指導者が「考えさせる」思考を備え、活用することです。

選手との関係性を良好に、コミュニケーションを効果的に進めるためにも・・・

 

指導者が変われば、選手も変わります。